3rd『102』配信記念
創作対談
※(本記事は『102』完成時に友人のカヱル(DJKaweru)氏と家呑みをした際の音声を反訳し一部修正したものです)
まずは完成して
カヱル(以下 カ):とりあえずお疲れ様。乾杯。(ビール)
楓:かんぱーい!(ビール)
カ:適当に買ってきたから各々つまもうか。
楓:ありがとう。何も食べてきてないから腹ペコペコだ。
カ:まずは完成おめでとう。『102』聴いたよ。最初に発表した時と随分曲数変わってなかった?
楓:そうそう。本当は10曲以内に収めようとしたんだけど。
制作初期のイメージと曲
カ:収録曲もだいぶ違うよね。
楓:うん。「デイドリーム」は音亀で、「オリオンより(オリオン)」はsoundcloudで公開してるから最終的に外した。色々悩んだよ。
カ:色々っていうのは?曲の構成とか?
楓:そもそも3rdアルバムのテーマがまだ決まってなくて代わりに入れてたのも大きいかな。ただ最後までどうしようかなあと思ってた。結果的にその二つの曲も、できあがったテーマと殆どズレがなかったから。
カ:個人的には『102』を「動静(どうせい)」が軸にあると思った。曲にでてくる人物たちの在りようがさ。変わろうとするもの、変わらないもの、変わってしまうものっていうか。特に「たぶん青の」は、その全てが当て嵌まるような物語だよね。諦めにも似た感情なんだけど、それは閉鎖的じゃなくて、じゃあもう自由だし好きに生きようか、それとも。みたいな。聴いた人が物語のどこでピリオドを打ってもいいようにできてる。そのほかの曲も、アルバム全体でも単体でも同一性を成してるように聴けた。
楓:今回歌詞は最近書いたものから20年くらい前のものもある。そういった点で軸があるって思ってくれたのは、四ツ夜楓という人物像に一つの確固たる何かがあると考えると冥利に尽きるよね。正直自分自身も「四ツ夜楓とは何者か」というのはわかってないから。もしかしたらそれを知る為の創作活動であるかもしれないな。
聴いてもらうことで完結する
楓:このチョリソー美味しい!
カ:つくねもかなりウマいわ。
楓:美味いものを食べるっていいね。幸せだ。
カ:幸せかー。創作活動してる中で幸せを感じる時ってある?
楓:また唐突な質問だ(笑)。んー。あんまり考えたことないな。うーん…(少し沈黙)。音楽でいえば良いメロディーが出来たとき、かなあ。
カ:良いメロディーなー。
楓:あ!幸せとはちょっと違うかもしれないけど、まだ鼻歌だけの曲に自分が知ってるコードがキチッと合ったときはヤッター!って思うね。
カ:そろそろコード覚えなさい(笑)。
楓:昔カヱル君が作った曲にボーカルで入ったことあったよね。あれも楽しかったの覚えてる。なんか自分の声がエフェクト?で色々変わるの新鮮で面白かった。
カ:あー大分前だけど「Explosion(エクスプロージョン)」って曲。その節はありがとう。せっかくだから後で音源送るからホームページに載せたらどう?
楓:いいねー。
(音量注意↓)
楓:改めて感じたのは外部からの刺激って必要だなって。
カ:外部?
楓:創作活動ってずーっと自分と向き合ってるから、なんというか、彫刻を掘ってる感じなの。そうすると内側なんだよ全部。それはそれでいいのかもしれないけど、音楽は相対的な視点も欲しい。聴いてもらうことで自分の中では完結するから、ある程度聴き手がどんな風に思えるかは考えの中に入れておきたい。内側だけだと疲れちゃうからね。
カ:気晴らしになったのなら光栄だ。
楓:そういう意味で『102』は波の激しい創作過程だったよ。本当難産な楽曲が多々あったから。いや、楽曲というより歌詞かな。
カ:今回の歌詞、今迄とちょっと趣が違う感じしたけど関係ある?
楓:強いて言えば…うーん。なんだろ、「提供した」って感じは強いかも。
カ:提供?どういうこと?
楓:『428』『214』は極個人的だった。『102』はより作品として聴き手を意識してるという意味が一番近いのかな。……うーん。ここら辺はまだ整理できてないかも。
カ:それに関してだと、自分が「動静(テーマ)を感じた」って時点で『102』は聴き手寄りな作品と考えることもできるよね。相手に何か想像させる思わせる点において随分優しい。
四ツ夜楓の残影
やってみたいことがたくさんだ。
(1時間半くらい経過)
楓:だいぶお腹いっぱいになってきた。
カ:同じく。
楓:カヱル君は新しい楽曲予定はあるの?
カ:ちょくちょく手遊び程度に作ってるよ。「四ツ夜楓」はどう?次回作。
楓:うん。今回発表できなかった楽曲が結構あるからそれと、あとデジタルにも挑戦してるからそれで一つずつミニアルバムみたいなの出したいなと模索中。
カ:一気に二枚?凄いね。まだまだ止まりませんな四ツ夜楓は。
楓:といっても気張らずにやっていくよ。『102』よりも気楽に。
カ:曲数が一番多かったからね『102』。えーと、13曲か。しかもこれで減らした方なんでしょ?
楓:うん。
3rd『102』
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第三章(始まり)
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Personal Gemini
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ランチパックで百鬼夜行
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予言
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ライクアポップロックヒートヘイズ
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アンダンテ(小休止)
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風裏の猫
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水面について
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儀式
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硝子壜で覗けば
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たぶん青の
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さくらの唄
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reverberation
楓:だから次フルアルバム出す機会があってもこの曲数よりは少なくなると思う。それくらい時間がかかり過ぎた。
カ:創作物って熱量だけでできちゃう人いるけど素敵だし羨ましい。自分はだいぶリラックスしてないと創作活動はできないな。
楓:よく耳にする年齢からくる衰えじゃなくて、年齢からくる環境の変化も影響あるかも。これは良くも悪くも。いずれにせよ、規模は小さくなれどずっと何か作っていきたいよね。
カ:個人的には吸収もしていきたいな。特に若い子たちの。彼らは初々しさと怖いもの知らずな創作物を創れるじゃない。そして生まれた時から身近にあるインターネット。ネットは外側に向かう力すごいからね。だから若い世代の創作物は自然と外側への比率が大きくなっていく。んで自分はそれを、真新しさに加えて歴史と対比しながら楽しめる。二度おいしい。奇しくも最初に話してた内側と外側の話に落ちたね。
楓:だいぶお酒入ってるでしょ。あんまり話に要領を得ない(笑)。
カ:そうかも(笑)。
楓:自分は想像する時、言葉から繋げていくことが多いんだけど、『102』作ってる最中は随分と絵が浮かんできたから映像とかもやってみたいなあ。色んな人の手伝いもしてみたい。
カ:面白そうだね、待ってるよ。
楓:やってみたいことがたくさんだ。
(音声終了)